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“安心”だけでは足りない
――新入社員の期待感を最大化する入社式とは

公開日:2025年7月11日 企業イベント

近年、若手人材の早期離職が社会的な課題となる中で、「安心して働ける」「自分らしくいられる」環境づくりが重視されています。
入社式も例外ではなく、心理的安全性の確保が最優先事項として語られることが増えました。
しかし、“安心”だけでは新入社員の期待感や成長意欲を最大化することはできません。
本コラムでは、入社式の本質を再考し、「安心」と「挑戦(ワクワク)」が両立する入社式の設計ポイントを、実際の事例や調査データを交えながら解説します。

価値観の変化と企業の課題意識

価値観の変化

従来の「上下関係」や「厳しい指導」よりも、「フラットな関係」「自分の意見が言える環境」を求める傾向が新入社員の間で強まっています。
この変化を受け、企業側も従来型の一方的なメッセージ発信から、双方向性や共感を重視したコミュニケーションへとシフトしています。

企業側の危機感

早期離職やメンタル不調の増加を背景に、「最初の印象」でつまずかせないよう、心理的安全性を重視する企業が増えています。
しかし、過剰な安心感の確保が、かえって新入社員の期待感や成長意欲の醸成を妨げているという指摘もあります。

新入社員が入社式に求めているもの

入社式であると嬉しいコンテンツ
(複数回答可)

社員と交流できる
69.7%
同期と一緒に「体験」できる
53.0%
キャリアプランなどの目標設定ができる
15.2%
家族などを招待できる
3.5%
特になし
14.1%

出典:株式会社学情|入社式であると嬉しいコンテンツ

株式会社学情が2025年4月に入社を控える新社会人を対象に、インターネットアンケートを実施した結果では、約7割が「社員と交流できる」入社式を望み、半数以上が「同期と一緒に体験できる」ことを重視しています。
一方で、「キャリアプランなどの目標設定ができる」ことを重視する新入社員は15.2%にとどまります。

この結果からは、「まずは安心できる環境や人とのつながりを求めている」という新入社員が多いことが分かります。
しかし、入社式の本質を考えるとき、企業側は“安心”だけでなく、会社としてどんな未来を描き、どんな人材を歓迎したいのか――その“主体性”を明確に打ち出すことも重要です。

“安心”だけでは足りない理由――心理的安全性の本来の意味と限界

近年、社会全体でコンプライアンスや心理的安全性が強く求められるようになりました。
その流れを受け、入社式でも「安心できる場づくり」が最優先とされがちです。
しかし、過剰な安心感の確保が、かえって新入社員の期待感の醸成を疎外している現状も見受けられます。

心理的安全性とは「自分らしく発言・行動できる」「失敗を恐れず挑戦できる」環境であり、単なる“ぬるま湯”や“甘やかし”とは異なります。
実際、入社式や初期研修で「過度に守られている」と感じた新入社員が、現場でギャップを感じて戸惑うケースも報告されています。
また、適度な緊張感やチャレンジの機会が減り、成長実感を得にくいという声もあります。

入社式だけでなく、その後の育成や現場マネジメントと一貫性がないと、逆に不信感や早期離職につながるリスクも指摘されています。

新入社員が本当に求めている“期待感”とは

最終的な就職先の決め手
(最も重視したもの1つを選択)

成長ができそうだから
22%
自分の能力、個性がいかせそうだから
18%
希望の勤務地で働けそうだから
9%
給料が高いから
8%
希望の職種・部署につけそうだから
8%
福利厚生が充実しているから
6%
仕事や職場が楽しそう(おもしろそう)だから
6%
内定をもらったから
5%
その他
18%

出典:株式会社産労総合研究所|2024年3月卒業予定者の採用・就職に関するアンケート

株式会社産労総合研究所が調査したアンケート結果では、 2024年3月卒業予定者が就職先を選んだ決め手として、「成長ができそうだから」(22%)、「自分の能力・個性が活かせそうだから」(18%)が上位に挙がっています。

入社式では“安心”や“つながり”が重視される一方、就職先選びでは“成長”や“自己実現”への期待が大きいことが分かります。

つまり、新入社員は入社前の不安から「安心できる環境」を求めつつも、同時に「成長できる期待感」も強く抱いていることが、データからも明らかです。
ここで重要なのは、入社式が単なる“歓迎イベント”にとどまらず、会社の姿勢や価値観を体現する場であるという点です。
安心感を与えるだけでなく、「この会社で自分は成長できる」「挑戦できる」という期待を新入社員に持ってもらうための設計が求められます。

入社式は、会社と新入社員の“最初の接点”であり、ここで伝えたメッセージや体験が、その後のエンゲージメントや定着率にも大きく影響します。
「安心」と「成長」の両立を意識した入社式の設計こそが、これからの時代の人事戦略の要となるのではないでしょうか。

「安心」と「成長」を両立する――期待感を最大化する入社式の設計ポイント

では、実際に「安心」と「成長」を両立させ、新入社員の期待感を最大化するためには、どのような入社式を設計すればよいのでしょうか。
ここでは、具体的な7つのポイントをご紹介します。

①対等な仲間として迎える姿勢を明確にする
「今日からあなたは当社の仲間です」というメッセージを伝え、過度に守りすぎるのではなく、信頼と期待をもって接する。


②安心できるつながりと帰属意識の醸成
既存社員や同期との交流、グループワークなどを通じて、心理的な安心感や「ここに居ていい」という実感を持ってもらう。


③成長への期待を具体的に伝える
経営層や先輩社員が「挑戦を歓迎する」「成長を後押しする」会社の姿勢を、挨拶やスピーチの場で具体的に語る。


④主体的な参加を促す体験型プログラム
会社のミッションやバリューを体感できるワークショップや、未来の自分を描くセッションを通じて、「自分もこの会社の一員として成長できる」という実感を持たせる。

⑤現場との一貫性・長期的なサポート体制の明示
入社式だけでなく、配属後も「安心」と「挑戦」の両立を支えるフォローアップ施策(研修、現場フォロー)があることを伝え、長期的な成長を後押しする姿勢を示す。

⑥過剰な“お客様扱い”や“守りすぎ”を避ける
「困ったときはサポートするが、主体的な行動や挑戦も期待している」という両面のメッセージをバランスよく伝える。

⑦「場づくり」による安心感と期待感の演出
開催場所や会場設計にもこだわり、会社の規模感やこの会社で働くという誇りや期待感を空間からも体感できるようにする。

《具体例》

【事例①】マンネリ化した入社式からの脱却(半導体メーカー)

最新技術を体感できるコーナーを設け、自社の製品やサービスについて理解を深める
一体感や安心感につながる先輩社員から一人ひとりにあてた手紙が贈られ、新しい形の入社式を実施


【概要】
開催場所:ホテルの大ホール
参加人数:約300名
実施目的:
・あらゆることに対しての好奇心を養う
・一体感の醸成
・安心してアイデアが発言できる環境作り

【事例②】「未来の自分」を描くワークショップ型入社式(ITベンチャー)

入社式の後半に、数年後の自分をイメージしながらキャリアビジョンを描くワークショップを実施
経営陣や先輩社員が自らの挑戦談を語り、参加者同士で目標を共有し合うことで、前向きな期待感を高める


【概要】
開催場所:自然豊かな研修施設・オープンスペース
参加人数:約40名
実施目的:
・自分の成長イメージを具体化する
・社員同士のつながりを深める
・会社の価値観を体感する

【事例③】地域社会とつながる入社式(地方銀行)

地元の商店街や自治体と連携し、地域課題をテーマにしたグループディスカッションを実施
新入社員が自らの意見を発表し、地域の方々からフィードバックを受けることで、社会との接点や自分の役割を実感できる


【概要】
開催場所:地域に根ざしたイベントホール
参加人数:約80名
実施目的:
・地域社会とのつながりを実感する
・自分の意見を発信する経験を積む
・社会人としての自覚を促す

【事例④】自社のスケール感を体感できる大規模会場での入社式(大手電機メーカー)

自社が持つ大型スタジアムで入社式を開催。
広大なフィールドを活用し、全新入社員が一堂に会することで、企業のスケール感や一体感を体感できる演出に。
式典後は、グループ対抗のフィールドワークや、経営陣とのパネルディスカッションを実施し、会社のビジョンや価値観を共有する場とした。


【概要】
開催場所:自社命名のスタジアム
参加人数:約500名
実施目的:
・企業の規模感や一体感を体感する
・経営層と直接対話し、会社の未来像を共有する
・同期との絆を深めるアクティビティを通じて期待感を高める

新入社員の“理想のスタート”を実現するために

入社式の本質は「新入社員の期待感の醸成」にあり、心理的安全性はそのための手段の一つです。企業の熱意やビジョンと両立させることが、これからの時代に求められる本質的な価値なのではないでしょうか。
“安心”と“ワクワク”の両立を意識し、会社が主体となって未来を描く入社式こそが、優秀な人材の心をつかむカギとなるでしょう。

一方で、入社式やその後の研修準備には多くの時間と労力がかかり、ご担当者様のご負担も大きいのが現実です。
HISでは、会場手配はもちろん、入社式や研修の企画・運営、宿泊・交通手配まで、包括的にサポートいたします。貴社の新入社員と組織の未来づくりを、私たちと一緒に始めてみませんか?

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