新型コロナウイルス感染症が世界に広まり、各国の海外渡航制限が長期化しています。コロナ前とは異なる「空港での手続き、現地到着後の動きはどうなっているのか」など、知りたい方も多いのではないでしょうか。コロナ禍の海外渡航の実態をお伝えする、海外渡航者インタビューシリーズ、今回はフィリピン・マニラです!
フィリピンに赴任しているHISスタッフの一時帰国の様子をインタビューしました。これから渡航する方、海外渡航の情報収集されたい方必見です!現在の渡航の実態を確認しご活用ください。
<ケース>
▶日本帰国日:2021年9月上旬 フィリピン航空(PR426)09:45 マニラ空港発 → 14:15 福岡空港着
▶フィリピン渡航日:2021年10月上旬 フィリピン航空(PR425)15:15 福岡空港発 → 18:25 マニラ空港着
▶渡航目的 :日本の一時帰国
▶渡航者情報:HISフィリピン 駐在員Bさん/赴任者査証所持
▶インタービュー:2021年10月中旬
※2021年10月時点での情報を基に記載しております。
申請手順や必要事項は予告なしに変更になる場合がございますので、ご渡航の際は、必ず大使館情報のご確認をお願いいたします。
フィリピンから日本へ
日本へ一時帰国の準備
現在、海外から日本へ入国するすべての方は「出国前72時間以内に受けた検査結果の証明書」の提出が必要だ。「出国前72時間以内の検査証明書」が提出できない場合、検疫法に基づき、日本への上陸が認められず、搭乗拒否となる。
この検査証明書の取得にBさんは苦労したようだ。その要因は2つある。
・日本の所定のフォーマットに対応できるクリニックが少ない
・検査から検査証明書の発行までの時間が「出国前72時間以内」と定めれているため、時間に余裕がなかった
実際に、Bさんが検査証明書を取得したのは帰国前日の夜中。「フィリピン入国よりも、日本へ帰国する手続きのほうが大変だった」と語っていたのが印象的だ。なお、日本の所定のフォーマットでないことを理由に搭乗拒否をされている事案も発生している。日本へ帰国の際は、事前に厚生労働省のウェブサイトを確認しよう。
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日本帰国の際は最新の情報を確認し帰国に備えよう!
厚生労働省ウェブサイト「水際対策に係る新たな措置について」および「検査証明書の提出について」
変わった?変わらない? マニラ空港と機内の様子
現在のマニラ空港の様子は変わらないのだろうか。
Bさんに聞いてみると、「空港は、大きくは変わっていないですね。チェックインの時に書類チェックがあるので、手続きに時間が掛かるくらいでしょうか。」
調べてみると、航空会社により4時間前の空港到着を推奨しているようだ。理由はBさんの前述の通り、国籍により査証や必要書類の確認があるため、チェックイン手続きに時間を要するためだ。日本国籍の方の場合は、検査証明書の提示のみで、Bさん自身の手続きはスムーズだった。ただし、手続きの待ち時間は、他の搭乗者の状況に左右されるため、早めに空港へ向かったほうが良さそうだ。
チェックイン後は、普段と変わらない。出国手続きを済ませ、搭乗ゲートへ移動する。出国後エリアのカフェは、いつも通り営業しているようだ。
機内の様子を聞いてみた。「フェイスシールドとマスクの着用をしないといけません。これはフィリピン国内のルールで、機内でも適用されていました。正直しんどかったです。それ以外は、機内食も、飲み物も、過ごし方も、いつも通りでした」
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渡航する国や、航空会社により、コロナ渦での特別な対策を行っている可能性があります。
航空会社のウェブサイト等を確認しましょう。
日本到着、隔離期間へ
日本へ到着しても、すぐに自宅には戻れない。フィリピンからの入国は、検疫所が確保する宿泊施設での待機が必要だ。Bさんが帰国した2021年9月時点での、日本到着後の手続きは以下の通りだ。
① 検査証明書の提出
② 空港でのPCR検査
③ 誓約書の提出
④ スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・確認
⑤ 質問票の提出
⑥ 入国審査後、検疫所が確保する隔離ホテルへ移動、待機(3日間)
福岡空港はコロナ渦の影響で国際線の到着便が少ない。その影響もあり、空港での検査、入国審査や荷物を受け取りもスムーズに済んだ。ここで注意点がある、ホテル到着までの間は、自由行動が一切できないことだ。そのため、軽食や飲み物などを購入できないまま隔離ホテルへ移動することになる。必要なものは事前に準備をしておくことが重要である。
3食の食事提供はあるが、部屋から出ることができない隔離生活を振り返り、Bさんは「振り返ると3日間ではあったが、フィリピンでの隔離より辛かった」と語っていた。
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最新の水際対策は、外務省および厚生労働省のウェブサイトを確認しましょう。
外務省ウェブサイト 「新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際対策措置」
厚生労働省ウェブサイト 「水際対策に係る新たな措置について」
フィリピン・マニラへの渡航
「One Health Pass」とは?
フィリピン(マニラ)への渡航準備を始めたBさん。航空券予約の他に、政府指定隔離ホテルの予約、接触追跡アプリTrazeのダウンロード、One Health Passの登録を行った。
その中で「One Health Pass」について聞いてみた。「One Health Pass」とは、フィリピンに到着する全ての渡航者に求めれる、オンライン入力フォームのことである。
▶ 登録のポイントは?
・出発24時間前より登録が可能
・日本出発空港のチェックインまでに登録を完了させ、二次元コードの取得が必要
・登録項目に飛行機の座席番号があるが、いずれかの方法で登録ができる
①航空会社のオンラインチェックを済ませ、座席指定を完了している場合はその座席番号を入力する
②空港のチェックイン時に座席指定を行う方は、搭乗券を発行した後に入力する
・登録完了後、二次元コードが発行される
なお、座席番号の入力はスキップすることができるため、空港到着前にその他必要情報を登録しておくことが可能である。
▶ いつ提示が必要か?
日本出発空港やフィリピン到着後の空港、ホテルチェックイン時に提示が必要になる。いつでも提示ができるようにスクリーンショットでの保存や紙で印刷をし、所持しよう。
Bさんは福岡空港のチェックインの際に「One Health Pass」二次元コード取得や政府指定隔離ホテルの予約を確認された。また、現時点ではフィリピンへの入国は、有効な長期査証を所持している方などに制限が実施されているため、チェックインの際に査証の確認も行われる。
Check!
One Health Passの登録はこちらから https://www.onehealthpass.com.ph/e-HDC/
Check!
実際に渡航される際は、最新情報を確認しましょう。
駐日フィリピン大使館ウェブサイトhttps://tokyo.philembassy.net/ja/
在フィリピン日本国大使館ウェブサイトhttps://www.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
Check!
2022年2月10日から、ワクチン接種等した外国人(商用・観光目的の査証免除対象者、及び、既存の有効な査証を有する外国人)の入国が許可されます。
※2022年2月10日より、フィリピンへの30日以内の 無査証短期滞在が再開されます。
渡航に際し、下記の入国の条件等を満たす必要がございます。
・有効なワクチン接種証明書
・出発前48時間以内に受検したRT-PCR検査の陰性証明書
・到着日から30日以内にフィリピンから帰国・出国するための航空券
・到着時点でパスポートの残存期間が6カ月以上
・新型コロナ感染症治療の最低補償額35,000USD以上の海外旅行保険加入
※詳細は下記をご確認ください。
在フィリピン日本国大使館ウェブサイト:
「【領事班からのお知らせ】フィリピンにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応について(その196:外国人のフィリピンへの入国に係る要件等)」
フィリピンへ出発、日本の空港の様子は?
チェックインの手続きを終え、出国手続きを済ませ、搭乗ゲートへと進んだ。福岡空港の様子に変化はないのか、Bさんへ聞いてみた。
「手続きはいつも通り変わらなかったですね。ただ、出国後のエリアでは専門店はほとんど休業、営業している免税店やコンビニも品数が少なかったです。ラウンジも休業していたため、搭乗までの時間を過ごす場所がなかったです。」
搭乗後は、日本への帰国時と同様の措置で、フィリピン航空の機内ではフェイスシールドとフェイスマスクの両方の着用を促される。日本ではフェイスシールド着用の習慣がないため、忘れずに用意しておこう。
余談ではあるが、フィリピン航空のマニラ行きに関してはコロナ渦でも成田、羽田の他に名古屋、関空、福岡と地方発着も就航している数少ない航空会社だ。
Check!
渡航者も少なく、空港を利用する方が限られているために休業している店舗も多い。飲食店以外にも両替や空港でのレンタル機器の貸出を利用する方は、営業状況を事前に確認しておこう。
フィリピン到着、政府指定隔離ホテルへ
到着 Non-OFWに向かって進め!
ここからはマニラ到着後へと話を進めていく。到着後の空港での流れは次の通りだ。
① 機内にて沿岸警備隊による空港での手続きについての案内(英語でのアナウンス)
② 日本人渡航者は「Non-OFW」*と書かれた標識に向かって進み、仮設ブースへ移動する
③ 仮設ブースにて「One Health Pass」の二次元コードと政府指定隔離ホテル予約書類の確認
④ 入国審査
⑤ 荷物の受け取り
⑥ 税関審査、および政府指定隔離ホテルへの移動手段の確認
Bさんの場合、飛行機を降りてから荷物の受け取りまで20分程で完了したそうだ。コロナ渦での入国手続きは時間がかかると思っていただけに意外だ。コロナ前に比べ入国制限の影響もあり、就航便や渡航者はコロナ前に比べ少なく、手続きがスムーズに行われているようだ。
*OFWは海外フィリピン人労働者を指す。そのため、日本国籍の方はNon-OFWに該当する。
Check!
マニラ空港では買い物ができるところがありません。また、喫煙所は撤去されています。利用者の方は注意が必要です。
空港タクシーにはご注意を!
空港を出たら政府指定隔離ホテルへ移動するが、移動する際に制限はあるのだろうか?移動手段としては下記の3つから選択することになる。
・ 宿泊ホテルの送迎車
・ 定額制のクーポンタクシー
・ メーター制の空港タクシー(イエロータクシー)
公共交通機関の利用は禁止されているため、Grabのようなサービスは利用できない。さらに、自家用車も利用できない。注意が必要である。
タクシー移動を予定する方へBさんからのアドバイスがあるという。
「メーター制のイエロータクシーは割高に請求される可能性があるため、定額制のクーポンタクシーがお勧めです」
実際に、Bさんは定額制のクーポンタクシーを利用し移動した。タクシーは空港の出口すぐに待機しているため、迷うこともなくすぐに乗車できるようだ。さらに、タクシー利用での注意事項としては、支払いはフィリピン・ペソの現金払いとなることだ。マニラの空港には両替所やATMがあるため、現地到着後でもフィリピン・ペソへの両替は可能である。準備をしておこう。
Check!
より安心な定額制のクーポンタクシーを利用しよう!フィリピン・ペソの準備も必要です!
政府指定隔離ホテルでの生活
滞在生活は?
今回、Bさんは政府指定隔離ホテルに「ニューワールドマカティホテル」を選び、8日間滞在した。滞在中の様子やルールなど実体験ならではの気になることを聞いてみた。
▶ チェックイン
チェックインの際は書類の記入をし、手続きを済ませて部屋へ移動した。利用したホテルのケースでは、ロビーから部屋へは一人で行動はできず、警備員の方が荷物を持って先導してくれたそうだ。
▶ 部屋について
利用した部屋は34㎡の広さで、禁煙で、窓は開かない。感染対策のため、アメニティ・滞在中の水はまとめておいてあったそうだ。タオル類は2つずつ用意されており、内線をすることで交換は可能だ。
▶ 食事面
決められた時間内に内線をすると、温かい食事を部屋の前まで運ばれ受け取ることができた。また、ルームサービスが24時間利用できるため、軽食やアルコールなども頼むことが可能だ。ホテル内で調理された食事の提供や、ルームサービスが利用できる点は、滞在者にとっては嬉しいポイントだ。
▶ 滞在中のルール
隔離中は、部屋からは一切出られない。フードデリバリーサービス等は利用ができないため、日用品や常備薬などの必需品は日本から持参しよう。滞在中のゴミは、まとめて部屋の外においておき、内線で連絡をすると片づけてくれる。
Bさんが利用したニューワールドマカティホテルには、日本語の案内書面もあり、安心して滞在が可能である。
Check!
フィリピンの政府指定隔離ホテルは、ベランダがなく、外にも出られない環境のため、窮屈さを感じます。どんなホテルを選んだ良いのか悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。次章では、選ぶときのポイントやHISがお勧めするホテルをまとめました!
△ ニューワールドマカティホテルの部屋の様子
ホテル選びのポイントは?
Bさんの体験を基にホテル選びのポイントを聞いてみた。
・広さ
隔離中は部屋から出れない。部屋の広さは30㎡以上がお勧め。スーツケースを広げたり、軽いストレッチなどの運動ができる広さがあると良い。
・窓
閉鎖された空間のため、窓から見える景色は、唯一外の世界との接点になる。窓があると気分転換になる。ホテルによっては、窓がない部屋もあるため、注意が必要だ。
・作業用デスク
滞在中に仕事をされる方も多い。パソコンを置いたり、資料を広げるスペース分の机は必要になる。
お勧めのホテル
上記3つの条件を満たす、お勧めのホテルは以下の通りだ。
※2021年11月現在、最新の情報はHISスタッフまでお問い合わせください
① ニューワールド マカティホテル
Bさんも利用した「ニューワールド マカティホテル」。
34㎡と広くゆったりと寛げる空間。大きな窓があるのもポイントだ。さらに、24時間利用できるルームサービスの提供もあるため、利用者の好みにあわせて追加で注文できるのも大きなポイントとなる。
② デュシタニ ホテル マニラ
30㎡のお部屋で広々と利用できる。窓もあり、開放的だ。ビジネス渡航者に定評があり、アジアのホスピタリティーを守りつつ、最先端の設備が導入されている。
隔離ホテルでのPCR検査
ホテル滞在中のPCR検査は?
政府指定隔離ホテル滞在中に、PCR検査が1回実施される。Bさんの体験した流れは下記の通りだ。
ポイントは、陰性証明の取得と、隔離証明書の取得になる。
① 検査前日に連絡が入る
② 検査(鼻咽頭ぬぐい液検査)
③ 検査結果(陰性の場合は、陰性証明)の通知がくる
④ One Health Passから隔離証明書の取得
PCR検査日の前日(滞在6日目)に、保健所からホテルフロントを通して、明日に検査を行う旨の連絡が入った。そしてPCR検査当日(滞在7日目)の朝、ホテルスタッフに連れられ、ホテル内にある特設の検査部屋にて検査を実施した。検査方法は鼻咽頭ぬぐい液検査だった。その日の夜にはメールにて陰性証明が送られてきたそうだ。
その後、One Health Passから隔離証明書を取得する。手順は以下の通りだ。
① One Health Passの「Track Swab Test」をクリック
② 日本出発前に取得した二次元バーコード番号(OSSから始まる番号)と苗字からログインする
③ ログイン画面からPCR検査の状況確認をする
④ 全ての項目にチェックマークが付いたか確認をする
⑤ One Health Passの「Quarantine Certificate」をクリックしてログインする
⑥ 画面に出る「Click HERE to Print UNIFIED Certificate」をクリックするし隔離証明書を取得する
Bさんは検査翌日の朝にはOne Health Passの「Track Swab Test」のチェックマークが付き、証明書の取得ができたそうだ。
時間 | PCR検査からホテルチェックアウトまでの流れ |
---|---|
滞在6日目 | 検査前日に保健所からホテルフロントを通して、明日検査がある旨の連絡 |
滞在7日目 08:00 | ホテル内にてPCR検査(鼻咽頭ぬぐい液検査) |
滞在7日目 21:30 | メールにて検査陰性証明届く |
滞在8日目 08:00 | One Health Passより隔離証明書の取得、ホテルチェックアウト |
Check!
2022年2月10日よりフィリピン到着後の検査と隔離措置が変更になりました。
(変更点)
ワクチン接種を完了している日本からの渡航者(日本国籍を含む外国籍):
・出発国/乗船港からの出発日時48時間以内に実施したRT-PCR検査の陰性証明書を提出。
空港敷地内を離れていない、もしくは他国への入国を許可されていない乗り継ぎ渡航者を除く。
・フィリピン到着時の隔離施設での隔離は必須ではないが、到着日から7日間は自身の症状を監視
・症状が現れた場合は、目的地の地方自治体に報告
※ 令和4年2月10日より、ワクチン接種が完了していない外国籍者は、入国が認められません。
フィリピン共和国大使館ウェブサイト
「お知らせ: 令和4年2月10日からの検査ならびに隔離措置について」
ホテルチェックアウト後は?
Bさんは、滞在8日目に、PCR検査の陰性結果と隔離証明書をホテルのフロントへ提示してチェックアウトを済ませた。このあと、14日目までは自主隔離期間となる。ホテルチェックアウト後の移動については特に制限は設けられていない。マニラからフィリピン国内へ移動される方も多いのではないだろうか。フィリピン国内の移動はこの強制隔離後に可能となる。
Check!
フィリピン国内へ移動される方はチェックアウト日にあわせて準備をしよう!
最後に
渡航制限がされているため、コロナ以前と比べるとフィリピンへの渡航者は少ないですが、日本でのワクチン接種も進み、渡航再開を検討されている方も多いのではないでしょうか。
依然として、手続きや到着後の行動での不安を抱えられている方も多いかと思います。この記事を通して、皆様の渡航の一助になることを願っています。
HISでは、コロナ禍での海外渡航のサポートを行っています。グローバルネットワークを持つHISにまずはご相談ください。