スカイグリーン
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世界初の商用「垂直農場」スカイグリーンでは、主に食料自給率の向上のために建設され、環境的な持続可能性を重視した最先端の農業について学びます。ツアーではSky Greens Vertical Farming Systemの仕組みとその利点を、古い農業と現代の農業の慣行と比較して、管理室、漁業、屋内育苗場、ファームステイなどの農場周辺を見学します。
近年、環境問題や社会問題への取り組みが各企業で積極的に行われていることから、「SDGs」に関する活動を街中で目にする機会が増えました。
世界各国でも2030年に向けてさまざまな取り組みを実施しておりますが、日本以外の国がどのような課題を持ち、どのように取り組んでいるのか、具体的に知る機会は少ないかもしれません。
そこで今回は、2021年に環境行動計画「シンガポール・グリーンプラン2030」を掲げ、国全体でSDGsに取り組んでいるシンガポールについてご紹介いたします。
INDEX
Sustainable Development Report 2023によると、シンガポールのSDGs達成度ランキングは、世界64位です。
17の目標のうち、「4.質の高い教育をみんなに」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の2項目で目標を達成しております。
2023年の日本の達成度ランキングは世界21位です。シンガポールと同じく、「4.質の高い教育をみんなに」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の2項目で目標達成をしております。
参考:Sustainable Development Report 2023
シンガポール外務省が発行する「TOWARDS A SUSTAINABLE AND RESILIENT SINGAPORE」という全84ページにわたる冊子では、各項目における課題とそれに対する取り組みが詳細に記載されています。 今回は、その中から特に注目すべき取り組み事例を厳選してご紹介します。
シンガポールは現在「世界最速の高齢化」の問題を抱えています。
2023年時点で5人に1人が65歳以上、2030年までには4人に1人が65歳以上になると予想されており、日本をしのぐ勢いとなります。
高齢社会が進む中で、退職後に十分な蓄えを持たない国民が多いことが問題視されており、対策が実施されています。
◆CPF(Central Provident Fund) ー中央積立基金ー
すべてのシンガポール国民、永住権取得者、雇用者が給与の中から政府が定める拠出率に従ってCPF専用口座に強制的に貯めていく仕組みです。
次世代に負担をかけることはなく、自分で将来に備えて貯蓄するという公平的かつ合理的なシステムが実現しています。
積み立てられた拠出金は特定の理由がない限り、加入者が55歳になるまで引き出すことができません。
◆シルバー・サポート・スキーム(Silver Support Scheme)
生涯賃金が低く、家族からの支援を受けることができない高齢者を支援するために、政府が補助金を振り込む制度です。
要件をすべて満たす65歳以上の高齢者は、3ヶ月ごとに現金支給を受けることができます。
シンガポールは国土が東京23区ほどの狭さのため、そのほとんどが住宅、オフィス、工場で占められています。農地が限られていることもあり食料の90%以上は輸入、食料自給率は10%を切っています。他国での食料生産の減少や物流の寸断が起きると、供給不足になってしまいます。
政府は2030年までに食料自給率を30%に引き上げる目標「30 by 30」を掲げております。また農水畜産庁は、農業のハイテク化を目指しており、総額6,300万SGDをかけて「農家がテクノロジーを利用し、生産性を高めるための支援」を開始しております。
◆スカイグリーン(ハイテク農業)
国土が狭いため、農場のスペースが確保できないという課題解決のために生み出された世界初商用「垂直農園」です。
野菜が植えられた何段もの棚は約8時間をかけて、ゆっくりと上下に1周します。作物はタワー上部に移動すると日光をたっぷりと浴び、下部へ移動するとトレーに蓄えられた水を吸収するという仕組みになっております。
シンガポールの教育機関は世界でもトップクラスです。その理由として、国土が小さく資源が少ないため、初代首相リークアンユー氏は「シンガポールの資源=人」と考え、現在の教育の形へとなりました。
◆バイリンガル制
シンガポールは多民族国家のため、公用語として英語を採用しています。学校教育では通常の授業が英語で行われ、同時に各個人の母国語も学びます。
1965年にマレーシアから独立した際、多様な民族が混在する国民を一つにまとめるために英語を公用語として採用したため、現在もすべての授業は英語で行われています。
しかし、各民族の母国語も重視されているため、学校教育では英語と母国語の両方を学ぶバイリンガル教育が行われています。
降水量が多いシンガポールですが、国土が狭くて保水力が乏しいため、水資源の多くを隣国マレーシアに頼ってきました。2002年の国連報告書では、シンガポールの淡水供給力は世界190ヶ国中、170番目。政府は水問題の解決を最重要課題とし、遮二無二に対策を推進してきました。
そんなシンガポールの水問題ですが、「雨粒を一滴たりとも無駄にしない」方針から貯水池を17ヶ所に拡大し、国土の3分の2の地域に降る雨を確保できるようにしています。
マリーナベイサンズやガーデンズ・バイ・ザ・ベイから海側へ進んだところにあるマリーナ・バラージは、シンガポール国内最大規模かつ街中で初めてとなる貯水池となります。
ただの貯水池ではなく、無料でSDGsについて学べるサスティナブル シンガポール ギャラリーや、芸術作品の展示を鑑賞でき、観光地としても楽しむことができます。
マリーナ・バラージには大きく2つの役割があります。
洪水を防ぐ
シンガポールは年間を通して降水量が多いものの、山間部がほとんどなく水源となる川や湖も少ないです。そのため、降った雨は直接マリーナ湾に流れ込んでしまいます。
それを防ぐため、マリーナ湾と外海を繋ぐ水路と水門で排水量を調節して洪水を防いでいます。
真水を確保するために海と淡水を分ける
9つの水門によって海水と貯水池内の淡水が混ざることを防ぎます。水門の大きさは高さ5m、幅30m、70tの鋼鉄製となり、この巨大な堰によって、生活に必要な真水を確保しています。
マーライオンやマリーナベイサンズがある周辺のマリーナベイは、マリーナバラージによって海と遮断された淡水となっています。
シンガポールのインフラは、世界でもトップクラス。現在もさまざまなインフラ整備が進んでおります。
◆公共交通機関
MRT(地下鉄)は現在6路線あり、バスもMRT網を補完するように島内全域に路線が張り巡らされております。
運賃がかなり安く、1駅であればおよそ0.8SGD〜1SGD、東のチャンギ空港駅から西のトゥアスリンク駅まで、47.7 キロ乗っても2.17SGDと非常に安いです。
MRTは、2030年までに現在の約230キロから360キロに伸ばす計画が立てられています。
◆空港
世界の航空・空港の格付け調査を行うスカイトラックスが発表した「ワールド・エアポート・アワード」では、シンガポール・チャンギ国際空港が2013年から8年連続、さらには2023年も総合1位を獲得しております。
現在、チャンギ国際空港は第4ターミナルまであり年間利用者数はおよそ6,560万人、2030年代に完成予定の第5ターミナルはおよそ5,000万人の収容能力があるので、完成すれば、アトランタ空港・北京空港に次ぐ合計収容能力が1億人規模の巨大なターミナルになります。
◆港
シンガポールといえば、沖合に浮かぶたくさんのタンカーを思い浮かべる人も多いかと思います。2010年に中国・上海港に抜かれてしまいましたが、シンガポール港は世界で2番目に大きな港です。2022年9月に開港したトゥアス港は、開発全体が完成すれば現在の取扱額の約2倍となるそうです。
1年中高温多湿な気候であり、人口密度が高いシンガポールの暮らしを少しでも和らげようと緑化政策が行われております。現在は国土の3分の1以上が緑で覆われています。
今後も加速させていき、2030年までに「自然の中の都市化」への転換を図り、すべての国民が家から徒歩10分以内に公園に行ける環境をつくっていくと政府が表明しています。
人工樹「スーパーツリー」と巨大ドーム型植物園「フラワードーム」「クラウドフォレスト」がある近未来型の巨大植物園です。
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの特徴は以下のとおりです。
✓ 上部の広がった形状部分から雨水を受け庭園に水を供給
✓ 太陽光発電パネルを内蔵し、発電した電力を使って夜間のライトアップやショーを実施
✓ 施設内のバイオマス発電所で発電された電力でドーム内の空調を管理
シンガポール全体で年間約50万トンの農業廃棄物が排出されており、これらはバイオマス発電所に集められ、発電に利用されています。
この循環システムにより、緑が維持されるとともに、一般家庭約4,500軒分に相当する約13,000トンのCO2削減が実現されています。
シンガポールでは、SDGsについて観光、 アクティビティ、食事などを通じて学んだり、体験することができます。 今回はおすすめのアクティビティを紹介いたします。
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世界初の商用「垂直農場」スカイグリーンでは、主に食料自給率の向上のために建設され、環境的な持続可能性を重視した最先端の農業について学びます。ツアーではSky Greens Vertical Farming Systemの仕組みとその利点を、古い農業と現代の農業の慣行と比較して、管理室、漁業、屋内育苗場、ファームステイなどの農場周辺を見学します。
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余った食料を使って、チーム形式で調理対決。ローカルのボランティアと協力をして調理した料理を必要とされている地域へ寄付し、楽しみながらフードロスに貢献することができます。食材の準備、料理の調理、箱詰めなど、さまざまなタスクを全員で工夫して行うためチームビルディングにも最適です。
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マリーナベイサンズにある、体験型のデジタルインスタレーションを通して、アートとサイエンスの融合を堪能することができるミュージアム。蓮の花をイメージした白い特徴的な建物には3フロア21のギャラリーがあり、芸術、科学の分野における想像力をテーマにした常設展、企画展示がされています。
いかがでしたでしょうか。シンガポールに関して新たな発見はありましたか。
今回ご紹介した取り組み以外にも、さまざまな課題に取り組んでいます。より詳しく内容が知りたいという方は「TOWARDS A SUSTAINABLE AND RESILIENT SINGAPORE」よりご確認ください。
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