新型コロナウイルスが世界に広まり、各国では海外渡航が制限されています。 そんな中、今年9月にタイ・バンコクに赴任されたHさんに、ご出発前から入国時の様子、ホテル隔離中の過ごし方など貴重なお話をインタビューさせていただきました。
2転3転した大使館情報と事前の準備
「本当は、4月1日付けでタイに赴任予定だったんですよね。3月下旬に空港で止められ…フライトをキャンセルして、半年待ちました。」と話始めたのは、今回取材をお願いしたHさん。
新型コロナウイルスの影響でタイが国境を閉ざし、赴任の目途が立たずにいた。 そんな時、HISから タイの新型コロナウイルス対策海外出張プランについてメールが届く。「ご連絡をいただいたタイミングが、絶好なタイミングだったんですよ。弊社がわりと前から海外出張でHISを使っていたので、連絡をもらってからは連携もしやすかったです。」
HISがメールでご連絡したのは、コロナ禍によるPCR検査や政府認定のホテル宿泊をセットにしたタイの渡航パッケージプランだ。 担当したHIS中山に当時の話を聞くと、HさんはHISのメールを受け取ってから1ヶ月で渡航をされている。コロナ前までであれば「ちょっと急に決まった赴任」という印象だが、今回はワケが違う。全てがイレギュラーなのだ。 「大使館の情報が2転3転したんですよ。ホテルも取らなくてはいけない、でもフライトは決まっていない。ビザも…やきもきしましたね。」
現在タイへ渡航する際は、渡航者自身でタイ国際航空のホームページで直接航空券を予約する必要があり、この部分はHISでもお手伝いができない。その他、ビザ申請やCOE(入国許可証)の申請も必要だが、これには申請の順番がある。Hさんの場合、この流れがコロコロ変わったのだ。
「最初は、①ビザの取得→②COE申請→③航空券予約の順だったんですけど、途中で①ビザ取得→②航空券予約→③COE申請に変わりました。飛行機の便も少ないので、予約が始まった途端に完売したり…」
HIS中山は、Hさんの情報がすごく早かったと話す。どのようにして情報を得ていたのかお伺いすると「タイ大使館の情報は毎日見ていました。そしたら、英語版の方が日本語版より1日早く更新される事がわかりました。それもあり、何とか今回の飛行機を予約する事が出来ました。」
現在は、航空券を予約、その後ビザ取得が可能になり、ビザ取得後にCOEの申請が必要となっている。また、日本~タイ間のフライト便数も増え、比較的状況は改善されてきているといえる。
「書類が全て」PCR検査、当日の空港の様子
タイではPCR検査の他、入国時に国が認可したホテル(ASQ)で15泊の隔離が義務付けられている。HISのパッケージプランには、このASQ15泊分の他、出発前・到着後・帰国後の計3回のPCR検査、空港~ホテルの送迎が含まれる。
Hさんとやり取りをしていたHIS中山は、特に出発直前が最も忙しかったのではないかと話す。タイ渡航前72時間以内に受ける必要のあるPCR検査もその理由の1つだ。「(出発前のPCR検査は)HISの名前を出したらスムーズに進みました。日本では唾液のタイプで、タイに到着した時は鼻に入れるタイプ。すんごい痛いんですよ。鼻血が出るかと思いました。笑」
PCR検査の結果発表は翌日18:00以降。Hさんは無事出発できることになった。「昼12時のフライトでしたが、成田空港には朝7時くらいに行きました。そしたらエコノミークラスのチェックインに100人近く並んでいましたね。1人1人書類を確認するので、ものすごく時間がかかるんですよ。とにかく空港には早めに行った方が良いと思います。」
「飛行機の中は、誰もしゃべらないで、間隔を空けて座っていました。粛々とみなさん動いている感じ。機内食もお弁当で、いつもみたいに魚や肉は選べなかったです。全部ふたが出来て、封が出来るものだけ。”あれください”とかお願いは出来なかったです。トイレは自由に行けました。ただ、席に戻った後すぐに、トイレの扉とか私が触ってあろうところを全て消毒されます。女性の方はちょっと嫌かもしれない。私は男だから気にしないけど。」と、航空会社もかなり感染症対策に気を使っている印象を受ける。
そしてインタビューで印象的だったのは、バンコク空港到着時の様子だ。「空港についた時は、もう物々しい感じですよね。1人1人飛行機を降ろされて、軍人と一緒に移動しました。犯罪者を送検するような感じで。」空港スタッフの他、完全防護服をきた看護師や警察官、軍人が厳しくチェックをしていたそうだ。「パスポートやPCR陰性証明書を見せて、青色・赤色のシールを貼られ、番号を付けさせられて、入国の審査でした。下手な行動とると連行されるのではないかと思いましたね。」
空港の預け荷物も、ターンテーブルから自分で取る事は許されず、空港スタッフに「これはあなたの荷物ですか?」と確認された後、「荷物はアルコール消毒してから私が運ぶので、触らないでください。」と言われたそうだ。
入国が済み、ホテル担当者がボードを持って待つ送迎車に乗り込みホテルへ向かう。そして、ホテル到着後、駐車場で書類確認だ。ASQは、医療機関との提携があり、今回ご宿泊されたホテル「グランド センターポイント スクンビット55」に到着時も、提携医療機関の「スクンビット病院」の看護婦がいたそうだ。
「12:00の飛行機に乗って、バンコクに到着したのが16:30。何でも書類確認させられるので、とにかく時間がかかる。書類が大事なので、出発前に万全な準備が必要です。それでも、ホテルの部屋に入ったのは20:30頃でした。」
隔離中、3食の食事は全てお弁当
今回、Hさんは滞在先のホテル客室からオンラインでインタビューにご協力くださった。スクリーンから見えるお部屋は、大きな窓から太陽の光が入り、開放的な雰囲気だ。しかし、滞在8日目は少しお疲れの印象で、早く外に出るのがたまらなく待ち遠しい事が伝わってくる。
「ホテルとのやり取りは全てLINEです。チェックインの時にLINEをダウンロードさせられ、タイ語か英語でやり取りします。英語を話せるスタッフは少ないのか、タイ語の方が返事は早いです。」
3食の食事は、和食・洋食・タイ料理から選ぶ事が出来る。時間もLINEでお願いするそうだ。時間になるとピンポンが押され、部屋の前にお弁当が置かれる。「食事が…苦しいです。実はパクチーが苦手で…極力和食を選ぶのですが、やっぱりちょっと違うかなと。フルーツはドラゴンフルーツとか、緑茶がついている!と思っても”げ!甘い…”とか。全てが甘いか、辛いか。日本人的に出された物を残してしまうのは申し訳ないのですが、食べられなくて。動いてもいないので、最近はお昼を食べてないです。」ミネラルウォーターは毎日支給されるそうで、日本から持参した緑茶やドリップコーヒーを飲んでばかりいるという。「カップラーメンを2個だけ持ってきました。スーツケースの限られたスペースに2個が限界で。いきなり最初に食べちゃうともう耐えられないと思って、1週間で1個食べようと思って1個食べました。”なんて日本のインスタント食品は美味しいんだ!”と、本当ならもっと持ってくれば良かったと思いました。タイ料理が苦手な方は、そういった準備も必要かなと思います。
アルコールはルームサービスでもダメです。隔離が終わったら、ビール飲みながら美味しい日本食が食べたいです。」
ホテルでの過ごし方、30分だけ許される中庭外出
15泊のホテル滞在中、テレワークで仕事をして忙しくしていても、土日などは休日。時間が無駄にあると話すHさん。
「インターネットは問題ないので、家族にテレビ電話をしたりしています。ホテルにNetflixが付いているので映画を見たり、携帯のゲームをしたり、小説を読んだり。時間をつぶす物が必要です。」
入国時のPCR検査で陰性だった滞在者は、隔離1週間後に30分だけホテルの中庭に出ることが許されるそうだ。限られた30分で走ったり、のんびり外の空気を吸って各々過ごされる。
「部屋の窓は大きくて開放的なのですが開かないので、30分だけでも久しぶりに外の空気を吸えてまだ良かったです。」
部屋の清掃やタオルなどの交換も、全てLINEでホテルに依頼。「ホテルの人が完全防護服でクリーニングしてくれます。自分が感染者として扱われるので、気分のいいものではないですね。掃除の間は、ソファの上で一言も発さず待っている感じです。」洗濯物は、持参した携帯用の洗濯洗剤を使って手で洗い、浴室に紐をかけて干しているそうだ。
「結構いいホテルなので、そこは有難かった」とおっしゃられる。
15泊の間、外に出る事を許されない環境下で十分な広さや窓の大きな客室のホテルを選ぶ事が、少しでも隔離中のストレスを和らげる事に大きく影響するように感じた。
最後に…
Hさんは、「実際、客観的に日本でニュースを見ていても本当に情報は表面上なもので、実際こんなにも物々しい状況で、それに対応しなくてはいけない渡航者。こんなにも厳格だと思わなかったです。これだけ厳格にしているからこそ、タイは感染者が少ないのだと思います。
これだけ厳格な対応をしているタイに来ると、日本人よりタイ人の方が危機感を持っているように感じます。不安もある状況で”今は外国人に来てほしくない”と思っている人もいるのではないかと…赴任者・現地駐在員は、(隔離後も)その事を意識しなくてはいけないと思っています。」とおっしゃられました。
これからタイへ渡航されるお客様へ
・大使館の情報は変動する可能性があるので頻繁にチェック。(英語版の更新が早い)
・とにかく書類!事前準備は完璧に。(少しでも不備があると渡航できなくなります)
・早めの空港到着をおすすめします。
・ホテル隔離中の非常食は出来るだけ持参することがおすすめ
・暇つぶしになるもの必須(本・ゲームなど)
HISでは、皆様のご渡航を出来る限りサポートさせていただきます。ご質問、ご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。