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休暇制度の効果的な活用法とは

更新日: 公開日: 福利厚生
休暇制度の効果的な活用法とは

「働き方改革」が推進されている今、企業の人事担当者は、従業員がより働きやすい環境を整備するために、様々な福利厚生を検討している事と思います。
金銭的補助を目的したものや福利厚生代行サービスなど様々な福利厚生がございますが、今回は「休暇制度」に焦点を当ててお話いたします。

休暇制度の種類

休暇制度には、大きく分けて2種類の休暇が存在します。

法定休暇

労働基準法により労働者に保証された休暇のことを指します。
労働者の健康維持や生活の充実を図るためのものとして確立されています。
(例)年次有給休暇、育児休業など

法定外休暇(特別休暇)

法定休暇以外の休暇で、企業が独自に設ける休暇のことを指します。これは企業の福利厚生の一環として設けられ、労働者の健康維持、モチベーション向上、そしてワークライフバランスの実現が目的です。
(例)夏季休暇や年末年始休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇など

CHECK 特別休暇は有給、無給?
特別休暇は、企業は給与を支払う義務が法的にはありません。そのため、有給か無給かについては企業ごとに設定いたします。また取得日数や条件も企業ごとに異なります。

休暇取得の現状

厚生労働省が発表した令和5年就労条件総合調査の概況によると、令和5年の年次有給休暇の平均取得率は62.1%となっています。年次有給休暇の5日取得義務が始まった平成31年4月から大幅に改善され、導入前の平成30年と比較して約5年で11.1%も改善されていることが分かります。

第2図 労働者1人平均年次有給休暇取得率の年次推移

業種別に見るといかがでしょうか。
「電気・ガス・熱供給・水道業」「複合サービス業」は平均を大きく上回り、70%以上の取得率となります。対して「卸売業・小売業」「宿泊業・飲食サービス業」「教育・学習支援業」がまだまだ平均以下となっています。

従業員数で見ていくと、「300~999人」「30~99人」の企業が平均以下となりますが、特に「30~99人」の企業では、有給休暇の取得率が57.1%と、他の従業員数の企業に比べて大幅に低い結果となっています。

第5表 労働者1人平均年次有給休暇の取得状況
注:1)「付与日数」は、繰越日数を覗く。
2)「取得日数」は、令和4年(又は令和3年会計年度)1年間に実際に取得した日数である。
3)「取得率」は、取得日数計/付与日数×100%である。

有給休暇の取得率が
伸び悩む要因

有給休暇の取得率が伸び悩む要因

忙しくて休みが取りにくい

仕事量が多く休む時間がないと感じる場合、休暇を取ることで仕事が溜まることを懸念し、休暇を取りづらい状況が生まれます。

周りの目が気になる

チームでの仕事が多い場合、自分が休むと他のメンバーに負担がかかると感じ、有給休暇を取得しづらい状況があります。また職場の風土や上司の意識が休暇取得に大きく影響します。休暇を取ることが忌避される風土では、有給休暇の取得率は低くなりがちです。

取得後の仕事が大変

休暇後に仕事をキャッチアップするのが大変と感じる人も多く、これが休暇取得のハードルとなることもあります。

有給休暇の取得手続きが煩雑

申請書の提出をしたり、上司に承認を依頼したりなど、取得手続きが複雑であると感じる場合、有給休暇を取得しづらい状況があります。

有給休暇の取得率向上への工夫

有給休暇の取得率向上への工夫

有給休暇を取りやすい
環境作り

まずは職場内で有給休暇が取りやすい雰囲気作りが重要です。しかしどのようにして雰囲気作りをしていけばいいかわからないという方もいらっしゃるかと思います。

例えば、
・有給休暇の取得目標を設定し、取得を促す
・業務状況に応じて取得促進期間を設ける
・上司がスタッフの残り取得日数を把握し、休暇日を割り振る

このようにまずは計画的に休暇を促していくのはいかがでしょうか。
上司やリーダーが率先して有給を取得することで、取得のハードルを下げることも効果的です。また、有給休暇を取得することでインセンティブをつけるなど、会社全体で環境を変える取り組みを実施している企業もあります。

フレキシブルな
休暇制度の導入

時代の変化と共に従業員が様々な働き方を求めたり、会社としてもフレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入している企業が増えています。半日単位、時間単位など、有給休暇にも様々な形態を導入することで、ライフスタイルに合わせて取得がしやすくなり、仕事とプライベートのバランスをとりやすくなります。

申請手続きの見直し

取得できる環境があっても、申請方法が面倒という理由で取得をしない方も少なくありません。申請手続きが従業員の負担になっていないか、改めて見直しましょう。

特別休暇を導入する

特別休暇を導入するメリットは、休暇に名前があることで休暇を取得する社員やその周囲の人々が休む理由を理解しやすくなる事です。 例えば、誕生日に休暇を取りたい場合、通常の有給休暇よりも「誕生日休暇」や「アニバーサリー休暇」のような特定の名前がついた休暇を取得する方が、社員自身が休暇を取得することを正当化しやすく、また周囲の社員もその理由を理解しやすくなります。
また全社員が共通して使える休暇名であれば、公平性を保つことができ、利用率向上に期待ができます。

CHECK 特別休暇の一例

誕生日休暇
社員の誕生日月に1日、休暇を取得できる制度です。
自分の誕生日はゆっくり休みたいという希望にこたえる、会社から従業員へのお祝いの気持ちを表すことができます。

アニバーサリー休暇
本人または家族の記念日に、有給休暇を優先的に取得できる制度です。
自分へのご褒美として休暇を取得できるため、モチベーションアップにもつながります。

フリーバカンス休暇
連続した数日間の休暇を取ることができる休暇制度です。
仕事と休暇のメリハリをつけることができ、リフレッシュすることにより仕事への意欲向上になります。

ステップ休暇
5年、10年、15年など勤続ごとに1週間~10日程度の連続休暇を取得することができる制度です。

それでもなかなか休暇が
取れない・・・
そんな場合は?

職場によっては、休暇制度を使っても忙しさから休暇が取りにくいという企業も存在します。そのような場合は年次有給休暇の計画的付与制度などを利用し、有効的に休暇を導入することも可能です。
この制度は、あらかじめ取得する日を決めておき、その指定の日に休暇を取得させる制度です。年次有給休暇のうち、5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができます。

(例)年10日の年次有給休暇が付与される労働者の場合
5日 5日
労働者が自由に取得できる 事業主が計画的に付与できる
(例)年20日の年次有給休暇が付与される労働者の場合
5日 15日
労働者が自由に取得できる 事業主が計画的に付与できる

導入方法も様々で、個人別付与方式だけではなく、企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方式や班 ・グループ別の交替制付与方式と様々な形態で導入することが可能です。

方式 取得方法
一斉付与方式 企業、事業場全体を一斉に休暇を取得、
全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を付与
交替制付与方式 班・グループ別に交替で年次有給休暇を付与
個人別付与方式 個人単位で計画を立て年次有給休暇を付与

導入までには社内規程の整備が必要ですが、有給休暇の取得率向上や労働環境の改善に繋がる制度となります。

最後に

今回は福利厚生の1つである休暇制度についてお話させていただきました。
休暇制度に関わらず、福利厚生の充実は従業員の満足度やモチベーション向上に繋がるだけではなく、社員の定着率向上や採用競争力の強化、人材確保にも効果的で、従業員と会社の双方にとって、良好な労働環境を作り出す重要な要素となります。 ぜひ自社の福利厚生について、考えるきっかけになりますと幸いです。

HISでは旅行でのノウハウを活かした様々な福利厚生サービスをご用意しております。
福利厚生に関して何か課題を抱えているなどございましたら、ぜひ一度ご相談くださいませ。

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