武陵源は、張家界森林公園、索渓谷(さくけいよく)自然保護区、天子山(てんしざん)自然保護区などの地域からなる自然保護区の総称である。1992年に世界遺産に登録された。
総面積は約264㎢にも及び、高さが200mを超える岩の柱が3100本以上も林立する岩山の世界は、一見荒涼であるが、豊かな森林が広がり様々な生態系を育んでいることから、「仙境の縮小版」と呼ばれることもある。
この世界でも類を見ない大規模な奇岩群は、数億年の間に起こった地殻変動による隆起や、雨風による浸食によって形づくられ、希少な動物や、四季によって様々な色彩を放つ植物達に彩られている。山頂までは、ロープウェイを使うことも可能だが、大自然を肌で感じながら自分の足で歩くのもまた格別の楽しみだ。
中国の西南地方、貴州、雲南、四川、湖南、湖北、広東などに広く分布している少数民族のミャオ族は、同一民族でも地域ごとに個性が溢れている。
主に、言語や女性の民族衣装の色彩(紅ミャオ族、青ミャオ族、花ミャオ族など)や、居住地域(短裙ミャオ族(山地に住むミャオ族)、長裙ミャオ族(平地に住むミャオ族)、スカートの丈が異なる)で分けられており、それぞれが独特な文化を育んできた。刺繍やろうけつ染めなどで作られた衣服だけでなく、銀尽くしの装身具にも彼らの美意識の片鱗が見られる。
煌びやかな民族衣装はもちろん、それぞれの民族が今に伝える風習も非常に興味深い。
昔ながらの佇まいを今に残す、中国で最も美しいと言われる古城。城の西にある山が、翼を広げて飛ぶ鳳凰の姿に似ていることから、「鳳凰古城」と名付けられた。
ここでは春秋戦国時代から清の時代まで、政治の中心として繁栄した当時の風景がほぼ完全な形で残っており、独特な雰囲気を醸し出している。鳳凰古城は新区と旧市街に分かれており、山に沿って広がる旧市街には沱江が流れ水も豊か。静かに流れる川沿いに、吊脚楼という家屋が建ち並び、現在では民宿や食事処、土産物屋として使用されている。美しくライトアップされた夜は一層幻想的で、中世にタイムスリップしたかのような感覚になる。