鹿児島県と沖縄県との間に連なる島々のうち鹿児島市から南へ約115~130km、種子島と隣り合うように並ぶのが屋久島です。
世界自然遺産に登録され、樹齢数千年の屋久杉に代表される太古からの原生林が一躍注目をあつめる屋久島。
ほぼ全域が山地であり、1,000m~1,900m級の山々の連なりから「洋上アルプス」とも呼ばれています。
また「ひと月に35 日雨が降る」と言われるほど雨が多い島で、年間平均降水量は8,000mmを超えます。
これは、日本の年間平均降水量の5倍近くにもなり、世界平均で比較すると10倍以上にも及ぶほど。
雄大な大自然が魅力の屋久島にはパワースポットとして人気の観光スポットも多く、この記事では様々な楽しみ方をご紹介します。
屋久島への行き方
鹿児島県の離島・屋久島へは、鹿児島空港からの航空便と、鹿児島港からの船便があります。
ツアーでは航空便で鹿児島空港に到着後、バス等で港へ移動してから船で島に渡るケースも多いので、 移動手段など事前に確認しておきましょう。
【飛行機で行く】
鹿児島空港へは東京・大阪・名古屋など主要各地から直行便があり、屋久島へ乗り継ぐJAC(日本エアコミューター)便はこれらに接続しやすいダイヤが組まれています。
鹿児島空港から屋久島までの所要時間は約40分、概ね1日5本前後の運航です。
その他、JACによる福岡から屋久島への直行便(所要時間約1時間10分)があります。
【船で行く】
鹿児島市内にある鹿児島本港南埠頭および、指宿市の指宿港から屋久島へ高速船(ジェットフォイル)トッピー・ロケットとフェリー屋久島2、フェリープリンセスわかさの航路があります。
また、隣り合う種子島との間にも高速船とフェリー太陽Ⅱの航路があります。
なお、屋久島では宮之浦港(こちらの本数が多い)と安房(あんぼう)港の2つの港があり、便によって異なるので注意が必要です。
- 鹿児島=屋久島(宮之浦港) 高速船で約1時間50分~(種子島経由便の場合は約3時間)フェリーで約4時間
- 鹿児島=屋久島(安房港) 高速船で約2時間40分(種子島経由)
- 指宿=屋久島(宮之浦港) 高速船で約1時間15分
- 屋久島(宮之浦港・安房港)=種子島(西之表港) 高速船で約50分
- 屋久島(宮之浦港)=種子島(島間港) フェリーで約65分
また、鹿児島港(谷山港)を夕方出航し、種子島 (西之表港)を経由して、屋久島(宮之浦港)に翌朝到着するフェリー「はいびすかす」も運航されています。
高速船・フェリー 基本情報
屋久島のおすすめ観光スポット
縄文杉
標高1,300mの深い森にどっしりと根を下ろし、現在確認されている中で最大の屋久杉。
推定樹齢は2,170年~7,200年ともいわれている最長寿です。
屋久島の厳しい自然を生き抜いてきた巨大な幹は、縄文土器のようなひだとこぶに覆われ、その圧倒的な存在感に驚きと感動を覚えます。
現在は近づくことはできず、15mほど離れた展望デッキから眺めるようになっています。
ちなみに屋久島では樹齢1,000年以上の高齢杉のことを屋久杉と呼び、それに満たない数百年の若木は小杉と呼ぶそうです。
縄文杉 基本情報
- 住所:〒891-4205 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦
- アクセス:屋久島空港から屋久杉自然館まで車で約20分、宮之浦港から屋久杉自然館前まで約40分、
屋久杉自然館から荒川登山口バス停まで登山バスで約40分。荒川登山口から徒歩で片道約4~5時間
ウィルソン株
縄文杉登山の途中に見ることができるウィルソン株は、1914年に屋久杉を調査したイギリス人植物学者アーネスト・H・ウィルソン博士によって世界に紹介されました。
推定樹齢およそ3,000年、高さ4m、周囲13.8mの屋久島最大の切り株です。
内部はおよそ10畳ほどの広さの空洞で小さな祠が祀られています。
周囲は立入禁止区域ですが、空洞の中は立ち入ることができ、空を見上げると「ハート」型に見えるポイントがあることから、最近ではパワースポットとしても話題に。
ウィルソン株 基本情報
- 住所:〒891-4205 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦
- アクセス:屋久島空港から屋久杉自然館まで車で約20分、宮之浦港から屋久杉自然館前まで約40分、
屋久杉自然館から荒川登山口バス停まで登山バスで約40分。荒川登山口から徒歩で片道約3時間
ヤクスギランド
安房港から約16km、標高1,000m~1,300m付近に広がる広大な自然休養林の愛称が「ヤクスギランド」です。
およそ270ヘクタールの広大な原生林の中に5つのトレッキングコースや遊歩道が設定され、屋久杉の巨木も多く原生林をそのままに感じることができます。
千年杉、仏陀杉などの巨木やくぐり杉、ひげ長老などユニークな名前が付いた特徴のある杉を見ることができます。
ヤクスギランド 基本情報
- 住所:〒891-4311 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房
- アクセス:屋久島空港から車で約50分。宮之浦港から車で約60分。安房港から車で約40分。「ヤクスギランド」バス停下車。
白谷雲水峡
標高600~1,050mにあり、ヤクスギなどの原生林を容易に観賞できる屋久島自然休養林です。
ハイキングなどで気軽に訪れることが出来るため、1974年に森林レクリエーション地区に指定されました。
有名アニメ映画のモデルになったといわれる苔の森が人気で、シダやコケで覆われた原生林を流れる白谷川の清流は、森の精霊たちが姿を現しそうな幽玄な美しさです。
宮之浦岳への登山道が縦断しており、辻峠、ウィルソン株、大王杉、縄文杉を経て山頂へと続きます。
白谷雲水峡 基本情報
- 住所:〒891-4205 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦
- アクセス:屋久島空港から車で約40分。宮之浦港から車で約25分。安房港から車で約55分
西部林道
屋久島の西側、栗生と永田の集落を結ぶ海岸沿いの原生林の中を通る林道の通称で、世界自然遺産の原生林を車で走るという貴重な体験ができるエリアです。
全長約20kmのうち、瀬切大橋から屋久島灯台入口の手前あたりまでの約15kmは、世界自然遺産地域に含まれており、人の手が加わっていない森林が続いています。
このあたりは野生のヤクシマザルやヤクシカを高い確率で見ることができる観光ポイントでもあります。
また、2024年の台風10号通過に因る影響で、2024年8月末より当面の間通行止めとなっていた、瀬切地区から屋久島灯台入口間も、同年9月7日より日中(午前7時~午後5時)の通行が可能となりました。
西部林道 基本情報
- 住所:〒891-4200 鹿児島県熊毛郡屋久島町
- アクセス:宮之浦港から永田側西部林道入り口まで車で約45分。安房港から栗生側西部林道入り口まで車で約50分。
永田いなか浜
永田いなか浜とは、永田集落にある「前浜」、「いなか浜」、「四ツ瀬浜」の3つの浜の総称です。
四ツ瀬の鼻まで白い砂浜が800m続く屋久島で最も大きな砂浜で、日本一そして世界有数のアカウミガメの産卵地としても知られます。
2005年には貴重な湿地としてラムサール条約登録湿地となりました。
5月中旬から7月末まで、永田ウミガメ連絡協議会によってアカウミガメの産卵を見学できる観察会が行われています。
また、島の西側にあるいなか浜は夕陽の美しい浜としても知られています。
雨の多い屋久島にあって、夕陽を見られるチャンスは多くはありませんが、夏ならば口永良部島(くちのえらぶじま)の右側あたりに、冬には左側あたりに沈む夕陽は、息をのむほどの絶景です。
※産卵や孵化のシーズン中(5/1~8/31)および夜間(19:30~翌朝5:00)は浜への立ち入りを制限しています。
永田いなか浜 基本情報
- 住所:〒891-4201 鹿児島県熊毛郡屋久島町永田
- アクセス:宮之浦港から車で約30分。安房港から車で約60分。「田舎浜」バス停から徒歩約3分。
屋久島うみがめ館(展示館)
国内最大のアカウミガメの産卵地であり、国内ではアオウミガメの産卵地の北限である屋久島。
毎年日本に上陸するウミガメの約半数がここ屋久島で産卵を行う、ウミガメ達にとって重要な場所です。
屋久島うみがめ館(展示館)は、ウミガメの生態調査研究と保護活動を行っているNPO法人の運営で、ウミガメの生態について写真パネルや剥製等、このうみがめ館でしか見られない貴重な展示物を多数展示しています。
またウミガメ観察について正しい知識を得られるようにスタッフが随時レクチャーしてくれるので、観光等で浜を訪れる際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
屋久島うみがめ館 基本情報
- 住所:〒891-4205 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦805-1
- アクセス:宮之浦港から徒歩で約10分。屋久島空港から車で約20分。安房港から車で約30分。
大川の滝
大川(おおこ)の滝は「日本の滝100選」にも選ばれている島内一の落差88mを誇る屋久島を代表する滝です。
駐車場から徒歩2分程度で滝壺の真下まで近づくことができ、豪快な水しぶきをあげて流れ落ちる様はダイナミック!
その水量や規模に圧倒されることでしょう。
特に夏場は、冷たい水しぶきとほとばしるマイナスイオンに癒しを求めて、多くの訪問者で賑わいます。
大川の滝 基本情報
- 住所:〒891-4409 鹿児島県熊毛郡屋久島町栗生
- アクセス:宮之浦港から車で約75分。安房港から車で約50分。「大川の滝」バス停下車徒歩約5分
千尋の滝
千尋(せんぴろ)の滝はモッチョム岳の麓近く、幅200m程の巨大な花崗岩の一枚岩から流れ落ちる落差60mの迫力ある滝です。
壮大なV字谷を形成しており、大川の滝とはまた違った滝の姿が楽しめます。
滝の左側に1,000人が手を繋いだほど大きな岩があることから名付けられました。
(昔は、人が両手を広げた時の幅(長さ)を「一尋」と呼び、目安にしていた事に由来します。)
雨の降った後など鯛之川(たいのこう)が増水しているときは特にその迫力を増し、滝からは少し距離のある展望所からの遠望ながら、雄大な姿を十分に満喫できるでしょう。
千尋の滝 基本情報
- 住所:〒891-4402 鹿児島県熊毛郡屋久島町麦生(展望所は〒891-4403 鹿児島県熊毛郡屋久島町原)
- アクセス:屋久島空港から車で約35分。宮之浦港から車で約50分。安房港から車で約25分。
トローキの滝
地形が急峻で雨の多い屋久島では、いくつもの滝の流れが川となって谷へ注ぎ、海へと向かいます。
その中でも、この「トローキの滝」は滝の水が海へ直接流れ落ちる非常に珍しい滝です。
潮の満ち引きによってその落差は変わりますが、およそ5m~6mと言われています。
麦生地区の「ぽんたん館」から歩いてすぐのところに展望台があり、鯛ノ川(たいのこ)に架かる赤い橋とモッチョム岳を背景にして、トローキの滝が海へ流れ落ちる珍しい光景を眺めることができます。
トローキの滝 基本情報
- 住所:〒891-4402 鹿児島県熊毛郡屋久島町麦生
- アクセス:屋久島空港から車で約30分。宮之浦港から車で約50分。安房港から車で約15分。「鯛ノ川」バス停下車徒歩約5分
平内海中温泉
平内(ひらうち)の海岸にある海中から湧き出た温泉で、1日2回の干潮時の前後約2時間だけ入浴できる珍しい温泉です。
泉質は単純硫黄泉でリウマチ、神経痛、皮膚病、婦人病に効果があるといわれています。
昼間は海の絶景、夜は波の音と満天の星空を眺めながらの入浴が可能ですが、波の浸食などで自然にできた窪みに少し手を加えただけの男女混浴で、脱衣所もないため岩陰で着替えることになります。
※水着や下着着用での入浴はできませんが、バスタオル巻きや、湯浴み着は可能です。
平内海中温泉 基本情報
- 住所:〒891-4406 鹿児島県熊毛郡屋久島町平内7-2
- アクセス:屋久島空港から車で約50分。宮之浦港から車で約80分。安房港から車で約35分。「海中温泉」バス停下車徒歩10分。
いかがでしたか
日本初の世界自然遺産に登録され、古来より「山岳に神々が宿る」といわれる屋久島。
その魅力を少しでも感じていただけましたでしょうか。
屋久島に興味はあるけど、登山やトレッキングは苦手…という方にも、屋久島の自然を体感していただける様、屋久杉関連以外の観光スポットも厳選して紹介しました。
離島へ旅行を検討中でしたらば、HISでは多数のツアーをご用意していますので、屋久島や種子島をはじめとする鹿児島の離島旅行を計画されてみては。
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