南イタリアでもっとも有名な海の洞窟、ナポリのカプリ島にある「青の洞窟」。断崖絶壁にわずかに開いた入り口から内部に入ると、まさに絶景。水面から放たれる深い青色の輝きが暗い洞窟内を包み込む神秘的な空間が広がっています。
この幻想的な空間は、地盤沈下により海面下へ沈んでしまった洞窟と言われています。水中に開いた穴から洞窟内に入った太陽光が石灰を多く含んだ白い海底に反射することで、海が青い光をたたえるように輝くのだそうです。
そのため、この青の洞窟は晴れた日にしか現れません。また、入り口が非常に狭いため波が高い日は入場禁止。そう簡単には出会えないながらも、この絶景を一目見ようと世界中から多くの観光客が訪れています。
洞窟内からは海にまつわるポセイドンやトリトンの彫像が見つかっており、かつてのローマ皇帝がプライベートプールや入浴に使用していたのではないかと考えられています。
古代ローマ時代には地上から洞窟内にアクセスする地下通路があったのではと言う専門家もいますが、いまだ発見されていません。
青の洞窟へは天候と波、この2つの条件が整わないと入ることができません。入り口の高さはわずか約1m。波が高い日には入り口がふさがってしまいます。
ちなみに内部は全長約54m、高さは約15m、水深約14m~22mの空間が広がっています。
ベストシーズンは天候が安定し、海も穏やかになる6月。
確率は80%ほどと言われますが、それでも絶対に入れるとは限らず、運次第。
7月~8月は少し確率は下がりますが、6月を含む夏場が観光シーズンとなります。また、午前中の方が高確率で入洞できます。
天候と潮の関係で冬場は総じて確率が低く、12月は20%以下になります。
青の洞窟に入れるかどうかは、当日に観光船の港で確認できます。ホテルのフロントで教えてもらえる場合もあるようです。
カプリ島は青の洞窟以外にも魅力あふれる島。もし青の洞窟に入れなくても、カプリ島観光を楽しみましょう。
古代ローマから親しまれるリゾートアイランド・カプリ島
ナポリから約30kmの位置にあるカプリ島は、古代ローマからヨーロッパの人々に親しまれているリゾート地。
石灰岩の白い岩肌と島の緑、そして海の青に彩られたこの島は、カプリ地区とアナカプリ地区に分かれています。
カプリ地区はブランド店やホテルなどが集まるカプリ島の中心地。
対して「青の洞窟」のあるアナカプリ地区は、美しい街並みが続く落ち着いた住宅地です。
島全体がリゾート地だけあって、どちらの地区でもオシャレなお店やレストランに出会えます。
また、カプリ島はレモンの産地としても有名で、レモンを使ったお土産品が豊富です。特にレモンのリキュール「リモンチェッロ」が観光客から人気を集めています。
ナポリ
カプリ島への玄関口となるナポリ。ローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市で、南イタリア最大の都市でもあります。
ナポリ湾に面した港町でもあり、その美しい景観は「ナポリを見てから死ね(vedi Napoli e poi mori)」という有名なことわざがあるほど。
旧市街は「ナポリ歴史地区」として世界遺産に登録されています。美食の町としても名高く、特にもちもちの生地が特徴のナポリピザは是非味わいたいところ。
青の洞窟を目指すには、イタリアのナポリへ。
日本からの直行便はなく、一般的にローマやミラノもしくはヨーロッパの各都市で乗り継ぎ便が運航しています。
また、ローマからは鉄道を利用するルートもあります。
ナポリの港からはフェリーで約1時間15分、高速船だと約35分~45分でカプリ島に到着します。