無題ドキュメント
 

HIS FOOD PROJECT

味をとことん追求し未来まで残る農業を
生産者インタビュー・田中良一さん
生産者インタビュー・田中良一さん
 
田中良一さん(緑の里りょうくん)

歴史ある柑橘農家を継ぐ

  • 田中良一さん
    WEBインタビューに答えてくださった田中良一さん
  • 以前は皇室にみかんを献上していたこともあり、100年以上続く由緒正しい柑橘農家【緑の里りょうくん】の代表を務める田中良一さん。
    大学卒業後すぐ農業に携わり、今では柑橘農家歴45年のベテラン農家さんです。

    小さい頃の記憶で、実家の床下にみかんが藁にくるまれて寝かされてあったことや、
    小学生の頃収穫のお手伝いをした時に最初に教えてもらった知識などを鮮明に覚えていらっしゃいました。

今は収穫した果実をプラスチックの容器に入れて保管しますが、昔は職人が編んだ稲わらのかごを使っており、何年か経って今度は竹のかごになっていったそうです。

教員になることを夢見ていたという田中さんですが、そんな移り変わりと共に父親の背中を見ているうちにいつしかこの歴史ある柑橘農家を継ぐんだという気持ちになっていったといいます。

農業を始めたばかりの時の心境を聞いたところ、大学農学部にいたころに影響を受けた教授のお話をしてくださいました。

「農学部にいた時に東京出身のおもしろい教授がいて、その人の教えなんだけど
日本だと農家の長男に赤字黒字関係なくそのまま引き継ぐのが普通。でもアメリカだと子どもは親の資産を譲ってもらうのではなく、買って事業を継ぐんですよね。だから経営感覚が最初からついている。
私もそういう経営をしたいと思って当時の貯金から赤字も背負って始めましたよ。当時は珍しかったみたいだけど、その分苦労しましたね。」

振り返るといろんな壁にぶつかってきたといいます。
最初の頃は取引先との関係構築がうまくいかず、経営計画が中々通らなかったりして思うように経営ができなかったそうです。
また、市場を関西まで広げ始めた頃、大阪の人は和歌山県産のみかんを食べ慣れていたため、商談会ではなぜ宮崎県産のみかんがよいのか、違いは何かと、食べる前から受け入れてもらえなかったといいます。
そこで田中さんは “おいしさの基準はみんな違う。食べて単純においしいと思ってもらえるものを作ろう。” と思ったそうです。

この考えが、その後緑の里りょうくんのポリシーに繋がっていったのでしょうか。

【見た目の美しさと、美味しさは比例しない】というポリシー

  • 「例えば日向夏。2〜3月の頃、見た目は一番きれいな黄色をしているけど味はまだ酸っぱいんですよね。ここから5月にかけてどんどんおいしくなっていくけど外皮の色はどんどんくすんでいく。樹の上でずっと紫外線を浴びるので当然のことですよね。

    木や果実が病気にならないために農薬を散布しても雨で流れ落ちてしまうし、
    害虫の対策をしてもまた新しい害虫ができてきその対策をしての繰り返し。
    キリがないんですよね。そこでうちは味を追求しようと思ったんです。
  • みかん(イメージ)

一般的には、果物はきれいなものがいいという概念がまだまだ根付いていると思いますが、
必要以上ではなく許容範囲の中で対応した作り方ができれば受け入れてもらえると思うんですよ。
それに賛成してくれる消費者が増えてくると嬉しいなと思いますね。」

昔は果物の単価が高かったため、細かな管理をして人件費をかけても採算が合ったといいますが、ここ20年ほど単価は変わらないまま。人件費・経費だけが上がっています。
そんな中、世の中の「農産物=美味しさは勿論、見た目が美しく扱いやすい」という要望のために手間もお金もかけていては、土壌を含めた環境的にも、経営的にも事業を継続していくことは困難だと田中さんは考え、味を追求する農家になることを選択されました。

「見た目は汚いけど味はおいしいねぇと言ってもらえるととても嬉しい」と田中さんはいいます。

業界全体で困っていることをお伺いしました。

「一次産業では経費が上がってますよね。肥料から電気からみんな、最近は食品業界や様々な企業が値上げを発表しますが、一次産業はそれができない。逆に販売店からは値段を下げてほしいといわれるんですよ。
さらには気候変動の影響で、日本各地の収穫の時期がずれて同じ時期に収穫する産地が増えてしまうと需要と供給が合わなくなって価格が暴落してしまうということも起きています。
計画は立てていても天候相手だから難しいのですが、作り方を変えていかなければいけないなと思っています。」

また、農家は個人でやっていても限界がある。集結して大きな力にしたり、他産業との掛け算を考えたりなど、新しいことに挑戦していかないと一次産業は残っていかないのだろうともおっしゃっていました。

  • 次世代の農業のために四六時中努力を惜しまない田中さんですが、お休みはあるのでしょうか。

    「休みという休みはないかも知れないですね。日曜日も平日に溜めていた農業新聞や経済新聞の記事を読んで半日が終わっちゃう。時間が足りないですね。
    好きな時間は、温泉やサウナに入っている時間が好きです。コロナ前は毎週日曜日に車で1時間くらいかけて鹿児島の温泉にいったりしていました。一人で考える時間がとれていいんですよね。
    あとはうちに田中チビっていうワンちゃんがいるんですけど、散歩しながらいろんなことを考えたりできて好きな時間ですね。」

    チビちゃんのふるさとである奄美大島に、ご家族で旅行にいった時のお話を楽しそうに話してくださいました。

おいしさの基準は十人十色

最後に皆さんにメッセージをいただきました。

「なかなか国産でグレープフルーツを作っている農家もいないし、完熟を追い求めている人も少ないので、ぜひゆっくり味わってほしいですね。
ただおいしさの基準はいろいろあって、10人が食べて10人が全員おいしいっていうのは絶対ないと思っているんです。
全員が満足するのは難しいなあと思っているところです。

輸入のものが輸送に時間がかかる分、国産ならではの新鮮さを味わってほしいですね。
おいしさの価値は人それぞれだと思いますが、新鮮さは間違いないと思います。
そこをおいしいと感じてもらえたら最高ですね。」

全員が満足する味は難しいという謙虚さがありながらも
次世代、未来の世代まで産地を残すため持続可能な農業を自分たちの代で確立させたいという田中さんの強い想いを聞くことができました。

とても気さくでユーモアも交えながらインタビューに応じてくださった田中さんでした。
園名の由来は田中さんの一人息子さんのお名前から。息子さんを長男、農園を次男ととらえ、自分の子供と同じように大切に想っているからだそうです。

そんな田中さんのグレープフルーツをクラウドファーミングを通して皆様にお届けいたします。
事前に予約購入することで生産者をサポートしながら、
一番旬な時期に新鮮なグレープフルーツを楽しむことができます。
ぜひ、田中さんの想いが詰まったグレープフルーツを味わってみてください。

  • 生産者インタビュー・田中良一さん
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    田中良一さん

    宮崎県日南市生まれ。緑の里りょうくんにて農家歴45年。「見た目の美しさと、美味しさは比例しない」というポリシーの元、持続可能な農業を展開し、次の世代へとバトンを渡していく為に日々生産業務と啓蒙活動に取り組んでいる。

    農林水産省と全国担い手育成総合支援協議会が実施する令和2年度の
    「全国優良経営体表彰」にて、【6次産業化部門】の”全国担い手育成総合支援協議会会長賞”を受賞。」